RJ45コネクタの究極のガイド

RJ45コネクタの究極のガイド

Jeff Smoot/著

モジュラー電子コネクタの使用により、世界中の通信およびデータサービスが爆発的に増加しています。モジュラーデバイス・ファミリで最も広く使用されているタイプの1つは、RJ45コネクタです。

別のブログトピックでご覧いただいた通り、モジュラーコネクタ・システムは、大型の電話コネクタや、手間がかかるその設置の代わりに、1960および1970年代にAT&Tによって開発されました。この新しいコネクタシステムは、技術者がオンサイトでカスタマイズしたり、ユーザーが自宅で設置したりできる、シンプルかつ迅速、便利なセットアップを提供しました。この製品ラインは、コンピュータ・ネットワーク用に開発されたRJ45など、データ通信の主力製品を含みながら、何年にもわたり拡大されてきています。実際、RJ45コネクタは一般的にイーサネット・コネクターと呼ばれています。

RJ45コネクタとは?

RJ45コネクタは、一般的に使用されているモジュラー相互接続デバイスで、ケーブルと組み合わせて、さまざまな電子デバイスやシステムにデータ通信サービスを提供します。

このシステムを使用して開発されたさまざまなコネクタは、1976年にFCCによってレジスタード・ジャック(RJ)システムへと分類され、RJラベルの付与へと昇格しました。これは、電話会社のハードウェアと消費者の機器との間の互換性を確保するために行われたことです。このRJシステムには、物理コネクタ、配線パターン、および信号仕様が含まれます。

すべてのモジュラーコネクターと同様にRJ45デバイスには、絶縁プラスチックチャネルで分離された金属接点が含まれています。このチャンネルは対応するソケットにフィットし、コネクタはタブでロックされ、固定することも取り外しも可能です。RJ45デバイスの内部には、信号や電源の処理に使用される8ピンと8ワイヤーの位置が含まれており、4つのツイストワイヤーペアまで対応できます。

このRJ45の8ピン構成は、8P8Cコネクタの構成と類似していますが、実際のRJ45コネクタには、不適切な配線接続を回避するために、互換性のあるソケットを使って一方向でのみデバイスを挿入できるようにするタブも含まれています。結局のところ、RJ45は8P8Cコネクタのひとつのタイプです。しかし、一般的な用途では、ほとんどの8P8CコネクタはRJ45と呼ばれますが、これは厳密には正確とは言えません。8P8CコネクタはRJ45ソケットに挿入できますが、その逆はできません。

RJ45の機能と能力

RJ45コネクタには、モジュラーコネクタの基本機能が備わっています。低コスト、コネクターと配線のはんだ付け不要のアセンブリ、カスタムケーブルを迅速に製造可能、簡単な挿入と取り外し、簡単な工具による容易なフィールドアセンブリ、現場でのケーブルのカスタマイズ機能などです。ソケット(またはレセプタクル)は、垂直型や水平型にすることもでき、様々な用途で使用可能です。

さらに、RJ45コネクタは間違った配線を防止するための前述した方向でのタブも装備しています。また、8ピン構成により、より要求の厳しいデータ集約型アプリケーションでも使用できるようになりました。

その他の機能には、以下のようなものがあります。

  • シールド - EMI/RFIの影響をキャンセルする
  • キーイング - 適切な挿入を確実に行う
  • さまざまな種類のマウント方法 - パネル、ボード、サーフェイス、またはスルーホールの各種方式に対応
  • ディスプレイとインジケータ - 接続ステータスを示す
  • 統合型磁気 - より優れたシールドと電流保護を実現
  • Hi-Rel - ハードウェアと接続の保護を提供

RJ45コネクタに適用可能な規格

RJ45コネクタには、用途に応じて適用可能ないくつかのエンジニアリング規格があります。ANSI/TIA 1096-Aは、基本的な物理的寸法、機械的特性、およびRJ45デバイスの接点要件に対応します。この基本的な配線規格であるT-568AとT-568Bは、RJ45の配線とピン配列をカバーします。IEEE規格802.3at、802.3af、802.3btは、このコネクタがエンド・デバイスに電流を供給する、PoE(パワー・オーバー・イーサネット)デバイスのイーサネット仕様と詳細をカバーします。IEEE 1394は、RJ45デバイスで使用されるデータ・インターフェース・バス構造を定義します。その他のさまざまな規格でも、RJ45デバイスで使用するケーブルや配線をカバーしますが、これも用途によって大きく異なります。これらの規格のいくつかについては、以下で詳しく説明します。

RJ45デバイスの現在の用途

RJ45デバイスは、主にインターネット対応デバイス(PCなど)を、サーバー、ルーター、モデム、スマートテレビ、ゲーム機、イーサネットプロトコルを使用するその他のデバイスなどの別のネットワークデバイスに接続するために使用されます。イーサネット・ネットワークは、プロフェッショナル環境と家庭内環境の両方で一般的です。RJ45デバイスを使用した配線により、データ転送の安定性とセキュリティを備えた高速データ速度を実現し、産業現場や工場のフロアでの使用に対しても魅力的です。

住宅用、商業用、および産業用の各アプリケーションでのネットワーク・デバイスは、RJ45コネクターを使用しています。
RJ45コネクタの様々なアプリケーションのイメージ

また、高耐久性RJ45テクノロジーは、システムコンポーネントを湿気、埃、振動、化学物質、機械的なストレスに曝されるデータ通信アプリケーションで使用されることも増加してきています。ブーツやストレインリリーフなどの様々なコネクタの追加機能によって、これらの環境での使用を可能にするために必要な性能が得られます。

RJ45とイーサネット

イーサネットは、物理空間内のコンピュータやその他のデバイスを接続するための簡単な一手段です。ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)またはワイド・エリア・ネットワーク(WAN)を介してデータを送信し、それらをケーブルで接続して、相互に通信できるようにします。

イーサネット規格(IEEE 802.3)は、1980年代にInstitute of Electrical and Electronic Engineers(IEEE)によって開発され、現在、世界中で最も広く使用されているLAN技術です。また、イーサネット・ネットワーク(接続)の構成に関するルール、接続に必要な導体の数、期待されるパフォーマンス、データ伝送のフレームワークを定義します。

イーサネット技術は、設置の容易さ、速度、コスト、幅広いネットワーク・プロトコル・サポートのバランスが良好で、広く受け入れられています。RJ45コネクタは、ネットワーク設定で使用されている標準デバイスです。

EtherCATとは?

EtherCATは、Ethernet for Control Automation Technology(制御自動化テクノロジー用イーサネット)の略です。これは2003年に導入され、Electrotechnical Commission(IEC)規格61158で定義されています。これは、リアルタイムの工場オートメーション、テストや測定、その他のアプリケーションのために業界が使用している非常に柔軟なネットワーク・プロトコルです。これは高速で動作し、非常に効率的です。繰り返しになりますが、RJ45コネクタはEtherCATネットワークの実装で使用されます。その他の特別なハードウェアは必要ありません。EtherCATネットワークのデバイスには、RJ45ポートが2つあります。1つはネットワーク内の以前のノードに接続され、もう1つは次のノードに接続されています。これにより、帯域幅を効率的に使用できます。

Cat5配線とCat6配線の比較

イーサネットとEtherCATネットワークで使用されるケーブルには、さまざまなバージョンがあります。Cat5およびCat6のケーブルはどちらも、ネットワーク内のコンピュータを接続するために使用されますが、そのパフォーマンスは大きく異なります。

Cat5は4ツイストペアのワイヤーで作られたものが広く使用されてきましたが、Cat5eケーブルによってこれは時代遅れになりつつあります。また、Cat5eは4ツイストペアのワイヤーでも製造されていますが、デザイン変更によりCat5の最大10X速く、クロストークや干渉に対する耐性が高くなります。

また、Cat6は4ツイストペアから作られますが、Cat5eよりも高速で、帯域幅容量と機能が大きく、シールドを介したクロストークや干渉を低減し、Cat5やCat5eと下位互換性があります。Cat6ケーブルは、通常ギガビット速度に達するネットワーク設備で使用されます。この新しいCat6aケーブルは、クロストークをさらに低減するために厚めのプラスチック製ケースを追加し、より長いケーブル配線(最大328フィート)に使用できます。Cat7ケーブルは帯域幅を徐々に改善しています。

ケーブルの種類 最大速度 最大帯域幅
Cat 5 100 Mbps 100 MHz
Cat 5e 1,000 Mbps 100 MHz
Cat 6 1,000 Mbps 250 MHz
Cat 6a 10,000 Mbps 500 MHz
Cat 7 10,000 Mbps 600 MHz
Cat 7a 10,000 Mbps 1,000 MHz

これらのケーブル設計は、それぞれ4ツイストペアまたは8本のワイヤで動作するため、すべてのワイヤーを接続するためにRJ45ピン付き8コネクタが必要です。Cat5、Cat5e、Cat6、Cat6a、Cat7、および Cat7aのケーブルはすべて同じRJ45コネクターを使用します。

パワー・オーバー・イーサネット(PoE)とRJ45

また、RJ45などのモジュラーコネクターは、両方の信号を中継し、接続されているデバイスに電力を供給する機能を備えています。パワー・オーバー・イーサネット(PoE)は、イーサネットケーブルの未使用のツイストペアを介してデバイスにDC電力を供給する技術で、個別の電源配線の必要性を排除します。PoEは、IEEE規格の802.3afと電源供給を強化したそれ以降のバージョンによって監督されています。そのさまざまなバージョンには以下が含まれます。

命名法 標準 最大電源
PoE IEEE 802.3af 最大15.4W
PoE+ IEEE 802.3at(タイプ2) 最大30W
PoE++ IEEE 802.3bt(タイプ3) 最大60W
PoE++ IEEE 802.3bt(タイプ4) 最大100W

PoEの使用は、個別の電気ケーブル、コンセント、または設置料金が不要であるため、そのコストの節約性によって急速に増加しています。また、電源コンセントの近くにデバイスを配置する必要がないため、柔軟性にも優れています。また、安全で信頼性が高く、拡張性に優れた設計がされています。

パワー・オーバー・イーサネット(PoE)インジェクターは、パワー・ツー・イーサネット接続デバイスを提供します。
PoEインジェクターの図

RJ45の技術的仕様/ボードレイアウトに関する考慮事項

イーサネット・ネットワークとインターフェースする、RJ45コネクタを使用するデバイスを設計する場合は、設計の関与レベルに応じて、いくつかの技術的な考慮事項があります。

ボードレベルでは、EMIを低減し、信号の整合性を維持し、電気的信号絶縁を維持することに焦点が定められています。回路設計の詳細に入る前に、まずは基板上のトレースの長さと位置に注意する必要があります。また、磁気は隔離し、できるだけRJ45との接続のなるべく近くに保持する必要があります。統合型磁気を備えたRJ45コネクタは、理想としてはEMIの低減で最適となることです。これについては、以下で詳しく説明します。ボード上のコネクタの物理的な配置も考慮する必要があります。

RJ45コネクタは、パネル、ボード、スルーホール、サーフェイスマウントなど、ほとんどの標準的なコンポーネントのマウント方法で使用できます。

RJ45コネクタピン配列

ピン配列は、コネクタ内のさまざまな各端子の割り当てのことです。この色分けされたワイヤーは、イーサネット・ネットワークを正しく機能させるためには、RJ45コネクタの正しいピン配置位置に挿入する必要があります。位置合わせを容易にするために、RJ45パススルーコネクタがあります。これにより、ワイヤーをコネクタに通して圧着中にトリムすることができます。

TT568AとT568Bの2つのRJ45ピン配列規定があります。これらは、コネクタ内の8本のワイヤの編成を定義し、それぞれが従うべき独自の配色を持っています。T568A規格は、旧式の配線との下位互換性を提供します。T568B規格は、より優れた信号絶縁とノイズ保護を提供します。いずれもイーサネット・ネットワークで機能します。

T568AおよびT569Bピン割り当ての内訳
RJ45 T568AおよびT568Bピン配列の内訳
RJ45 コネクタのT568B配線
RJ45 コネクタに表示されるT568Bピンの割り当て

どのタイプを使用するかは、個々の設計ニーズと、ストレートスルーケーブルまたはクロスオーバーケーブルのどちらを使用しているかによって決まります。ストレートスルー(パッチケーブル)は、各端で同じ配線規格を持っています。クロスオーバーケーブルは、一端にT568A接続、もう一端にT568B接続を持ち、それによって同じタイプのデバイスを接続するために使用されます。

ロール型またはロールオーバー・ケーブルはフラットで、デバイスをネットワーク・スイッチ・コンソール・ポートに接続します。これらはインターフェースの確立にのみ使用され、データの送信はおこないません。

その他のよく耳にする用語としては、コンピュータが自体との接続を可能にするループバックがあります。これは、診断、トラブルシューティング、サーバとの接続に使用されます。最後に、テレコム・サービス・プロバイダーからエンド・ユーザーに直接送られる専用回線、T1です。これはより高速な速度を提供し、音声とデータの両方を伝送できます。サービスなどでTT1ラインは見かけることもあるかもしれませんが、その使用頻度は15~20年前よりもはるかに少なくなってきています。

RJ45コネクタのタイプ

アプリケーションに応じて、さまざまなタイプのRJ45コネクタを使用できます。これには、以下が含まれます。

  • 標準 - 8位置、8接続、シールドなし。
  • シールド - シールドケーブルへの接続を組み込む内部シールドコネクタ。RJ48と呼ばれることもあります。
  • 高耐久性 - 過酷な環境条件からデバイスを保護するためのさまざまな外部部品が含まれます。Hi-Relとも呼ばれ、これは高信頼性の略語です。
  • 10 ピン RJ45 - T1ラインと同様に、すべてのシリアルラインが必要な場所で使用される10ピンコネクター。
  • 小型化 - 標準RJ45のより小さなフットプリントバージョン。

RJ45 磁気ジャック

磁気は、EMIシールドを提供し、障害や過渡電圧から保護し、電気的絶縁と信号バランスを提供する巻線部品(変圧器など)です。磁気をイーサネット設計に組み込むには2通りの方法があり、そのいずれかを選ぶことができます。最初のオプションは、磁気モジュールをPHY(イーサネット実装)チップとコネクタージャックの間の回路基板に追加する方法です。もうひとつは、ハウジングに磁気を統合したRJ45コネクターを使用することもできます。

モジュールは、統合型デバイスよりも安価で、優れた静電放電(ESD)保護を提供する傾向があります。磁気統合型のRJ45コネクターは、EMIシールドとより信頼性の高い接続が得られます。どちらの方式にもメリットとデメリットがありますが、有線イーサネットを設計に追加する場合、これらは10/100/1000 Base-Tネットワークのイーサネット仕様の一部となるため、磁気について考慮する必要があります。

RJ45コネクターのアプリケーション

イーサネット機能をシステム設計に入れる場合、Cat5またはCat6ケーブルのRJ45コネクターを使用することは、ネットワーク、周辺機器、通信の接続に対する標準的なソリューションと言えます。RJ45製品ラインに速度や耐久性の向上などの機能や能力が加わったことで、この相互接続システムはオフィスやホーム・ネットワーキング以外の用途にも適用できるようになりました。

このEtherCATプロトコルの登場により、工場の現場やそれ以外での用途が拡大するようになりました。RJ45テクノロジーを使用するより新しい一部のアプリケーションには、次のようなものがあります。

  • ファクトリー・オートメーション
  • 産業プロセス制御
  • 産業ロボット工学(製造および組立)
  • 試験および測定システム
  • 品質管理システム
  • ボイス・オーバー・インターネット・プロトコル(VOIP)システムおよびデバイス
  • モノのインターネット(IOT)ネットワークデバイス

設計や製品の選択に関する考慮事項

製品またはシステム設計のプロセスでは、常にさまざまな自問自答が必要です。RJ45接続を考慮した製品を設計する場合に考慮すべき事項を限定したリストを次に示します。

  • 必要なケーブル長は?
  • このシステムにはシールドコネクターが必要ですか?
  • 統合された磁気または基板実装モジュールを使用していますか?
  • この設計に最も適したピン配置プロトコルはどれですか?
  • この製品またはシステムには、PoE機能が組み込まれていますか?
  • 堅牢なデバイスまたは信頼性の高いデバイスが必要ですか?
  • この製品またはシステムは、過度のEMIまたはESDの対象となりますか?
  • どのようなデータ転送速度が必要ですか?
  • どのような帯域幅が必要ですか?

概要

モジュラーコネクターのシステムは、時代遅れで労力のかかる電話相互接続プロセスを改善するために最初に開発されました。このシステム内に、特にイーサネット・プロトコルを使用するデバイス間の相互接続性の問題を解決するために、RJ45コネクターが導入されました。

RJ45デバイスは、その他のモジュラー コネクターと同様に、設計入力、迅速で簡単な設置、幅広い製品、ユーザーアクセスを提供します。家庭やオフィスの両方のネットワーク・アプリケーションで世界中で受け入れられており、工場の床や過酷な環境でも受け入れられるようになってきています。

CUI Devicesでは、統合磁気、PoE、LEDインジケータなど、さまざまなオプションを備えた幅広いRJ45コネクターを提供しています。

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Jeff Smoot

Jeff Smoot

バイス・プレジデント(エンジニアリング担当)

2004年にCUI Devicesに入社して以来、Jeff Smootは製品の開発、サポートおよび市場投入に重点を置いて、同社の品質管理およびエンジニアリング部門を活性化してきました。顧客の成功を第一に考えたJeffはアプリケーション・エンジニアリングチームの立ち上げを主導し、設計プロセスにおけるエンジニアに対し、現場やオンラインでのエンジニアリング設計・技術サポートを強化しました。仕事以外では、アウトドア(スキー、バックパッキング、キャンプ)を楽しみ、妻や4人の子供と共に時間を過ごします。そしてJeffはずっとデンバー・ブロンコスを応援しています。